基礎物理学I 第8章

前章では,

物体に仕事がなされたとき,仕事の合計が物体の運動エネルギーに加わる

ことを学んだ.

保存力と非保存力

物体に力を加えて移動させるとき,仕事量が始点と終点だけによって決まる(経路によらない)とき,その力を 保存力 とよぶ.

重力,摩擦力のように力学の授業でよく登場するものは保存力である.

摩擦が関係する力は非保存力である.

現時点では,「摩擦」以外の力はほとんど保存力であると思って良い.

摩擦力は運動エネルギーを減じるようにはたらく.この分は熱エネルギー(分子の乱雑な運動エネルギー)に変化する.そのことをエネルギーの 散逸 (dissipation)とよぶ.

8.2 ポテンシャルエネルギー

この節以降は 保存力についてだけ 扱う.

力の積分に負符号をつけたものをポテンシャルエネルギーと呼ぶ

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ニュートンの運動方程式

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を積分(左辺については,テキストp170参照:授業で説明)すると

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がなりたつ.つまり,

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は一定に保たれる.これを 力学的エネルギー と呼ぶ.

8.4 地表付近における重力ポテンシャルエネルギー

質量mの物体にはたらく力は,地上付近では一定値 mg であるから,鉛直上向き方向にy軸をとると,

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となる.

落下は,運動エネルギーが増し,ポテンシャルエネルギーが減る過程である.

エネルギー的考察が有用である例として例題8.4を考えてみよう.

8.6 ばねに蓄えられるエネルギー

latex2png equation の積分(ポテンシャルエネルギー)は

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であるから,この場合の物体の力学的エネルギーは

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と書かれる.

例題8.6を考えてみよう.

8.7 保存力とポテンシャルエネルギーの関係

保存力を積分するとポテンシャルエネルギーの表式が得られた.逆にポテンシャルエネルギーを微分すると力になる.

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一次元での問題では,FあるいはUが位置xだけの関数であるとき,力は保存力であるといえる.

最後にp.208の「まとめ」で復習しておこう.

この章の問題

2,3,4,10,29,43

参考

斜面を滑る物体のエネルギー保存則に関わるシミュレーションとして,Webブラウザで見られるものを紹介する. 次のページの Dynamics -> Coservation of Energy を閲覧してみてほしい.

General Physics Java Applets"インド工科大学の B.S. Reddyさんの作品